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街=ギャラリーという考え方


竹下通りに飾られるTシャツ  99年5月、ゴールデンウィーク。表参道に突如300枚のTシャツが出現した。同じ頃、原宿・千駄ヶ谷方面。通称お化けトンネルなるトンネルでは、壁中を埋め尽くす壁画がいくつも誕生していた。ゴールデンウィークに原宿に出かけて、なんなんだこれは、と不思議に思った方も多いのではないだろうか。アーティスト集団Office+Hが仕掛けたArtscapeAction'99である。Tシャツは総勢約500名の美大生、専門学校生その他若手アーティストが、それぞれ配られた真っ白なTシャツを作品として加工・製作したもの。ゴールデン期間中、表参道沿いの街路灯にずらりと展示された。一方のお化けトンネルはLivePaintingと称し、約百名の若手アーティスト達が5日間かけて殺風景で落書きのひどいトンネルをギャラリーに変身させてしまおうというもので、最終日の5月5日には見事、トンネル内の壁にとどまらず、外壁にまで飛び出して実に多種多様な絵が完成した。

 聞けば、原宿・竹下通りの店のシャッターに描かれている絵も彼等の手によるものだと言う。

 なんなのだ? Office+H。なにをやろうとしてるんだ? ということで代表の泥谷英明さん(22)にお話を伺った(以下、インタビューから抜粋)。


−どういった経緯でこういった活動をされてるんですか?

 始まりは去年暮れの原宿シャッターアクションです。竹下通りの商店街の方と話してた時に、シャッターに落書きがひどくてねっていう話があって、じゃあ、絵描く友達いますよ、絵描きますよって言って。やってみたらおもしろかったし、人数も規模も結構おおきくなっちゃって。で、今年あたまににワタリウム美術館キュレーターの和多利さんやハイブリッド (株) 社長の今井さんからお話をもらって、じゃあ GWにはこういう昼のイベントやりましょう、と提案して、3月頃ですね。Office+Hは正式に誕生しました。

−活動内容は街の中に出て、Tシャツをかけようとかトンネルに絵を描こうとか、ほとんど外での活動ですが、どういった意図でなさってるんですか。

 やっぱそこにはこだわってるかな。例えばギャラリーで人の作品を観るのって、すごいなんかね、恥ずかしいっていうか、作品を観てるんだけど観てる自分を意識してんの、常に。日常じゃない空間やん、ギャラリーって。はっきり意志を持って行くし、だからお金も払うし、確かに質のいい作品があるかもしれないけど、意識しちゃう。ああ、俺こんなん見てるよって。なんかそれがね、恥ずかしいのかなんなのか分かんないけど、もっと日常に、ぷらっと歩いてるとこにそういう作品があってもいいんだよね。うん。と思ったのがいきさつ。あとは、大学生、特に創作活動してる美大生、専門学校生に発表の場が余りにも少ないと思うのね。そういう人たちに少しでも話題性のある、お金とってとかじゃなくって、もっとみんなに見てほしい、おじいちゃんおばあちゃん、子ども、いわゆる目的もなく歩いている人、散歩してる人にも見てもらえるような環境を作れるかなってのが発端。だから街に出てやってる。

−日常の中で、意図するわけでもなく絵を見に行こうと気取るわけでもなく、絵を見たいっていう観客としての意志と。

 うん、偶然性をつくりたい。

ペイントをするアーティスト −それから、アーティストに活動の場をつくりたいっていうことですか。

 そう、その二つだよね。それがドッキングしたらこういう形になるかな。いろいろあるアイディアを実行に移す、現実にするっていうのがOffice+Hの使命、かなと思ってます。

−今後はどういったアイディアがあるんですか。

今回やったTシャツと壁画、シャッターも現実の都市空間でやったけど、これからはインターネットの中にも都市空間ができてきてるから、そこでもやっていかなきゃいけない。僕ら、ホームページもあるので、まずはそこを発表の場にしたい。それも一つの空間だからね。

−ギャラリーとしてのホームページということですか。

 はい。街の中でのアクションとしては、次はやっぱフォトギャラリーオンザロード。今年中には実現したいね。

−一つ気になるんですけど、道路って踏まれるじゃないですか。

 うん、踏まれる踏まれる。

−どんどん消えてっちゃうと思うんですけど。

 うん、もちろん期間限定なんだけど、だけど踏むことによって、だからこそ道路にあるわけで、こう、踏みつけられてさ、かどっこがぺろっとめくられるということで場所性あるし。歩く人もその上を歩くことを認識していくしさ。で、多少雨風で剥がれなくって色あせしなくって丈夫な素材はもうすでにあるので、問題は値段だけ。プリントする技術もあって大体値段もわかってる。金さえ集まればできなくはない、とは思うんだ。やるんやったら、センター街ジャックとか、銀座のほこてんジャックとかさ、やりたいね。
 他には、この運動を継続していくためにも、アーティストのほうに、金銭的に還元できるようなシステムを作るのがプラスエイチのもう一つの使命かなとも思う。優れた作品に対して、街でアクションする以上に二次的にね、それが広告になったり製品になったり、もっと人の目に付くような形で世に出ていくサポートをする。そうすれば作家に還元できる。いい作品を作る作家が世に出ていくのをサポートして、金銭的に還元するって言うのかな、プラスエイチが。そのシステムを作りたいっていうふうには思ってる。そのためにはもうちょっと足場がしっかりする必要があるなっていうのは正直思う。

−継続的についてくれるスポンサーを探すっていうことですか。

 プロジェクト毎でもいいんだよね。いわゆるアーティストってさ、営業活動なんかやりたくないしさ、でもみんな必要なことだと思ってんだよね。作品を人に見てもらうためにはさ。それを一人一人やってたんではあまり大きな力になんないけど、まとまった集団に対して協力者になってくれる企業なり、個人なりを探して、そういう人の力も借りて、作家を出していく。

−疑問なんですが、観客に対するアプローチと、アーティストに対するサポートと両面持ってらっしゃるじゃないですか。アーティスト、誰をアーティストとするのか、今の所選別とかなさってないですよね。それが結構難しいんじゃないかなと思ったんですけど。

 確かにね。表現者って言ったらいいのかな。

−それは、そういう意志を持っている人であれば、誰でも参加できるものとして捉えてらっしゃるんですか。

 基本的には、そうだな。大体その作品を見れば何となくわかるもんね。この人は日頃から表現活動をやってるかどうかっていうのは。それに賭けてる。意気込みって言うとなんか仰々しいけど。コンクールとか懸賞とかあるけど、そういうのじゃないじゃない。まあ、意識がない人は参加しないでしょう。自然とそういう人が友達とかを誘って集まってくれればそれでいいかな。

−もし、希望者がスペース以上に集まっちゃった場合は?

 どうしよっか。その辺バランスだよね。

お化けトンネルに描かれるアート −トンネルの絵とか見てて、差が激しい、と思ったんですよね。

 スタイルっていうことかな。

−スタイルがばらばらなのは逆にいいことだと思うんですけど、すごいと思えるものと落書きに見えるものとあったんですね。コンセプトだとか全体像を話し合わずに描いている人もいたよね、という話を聞いたもので。

 トンネルに関しては意気込みっていうものには確かにばらつきがあったんだよね。まったくもう、プラスエイチの責任やなと思うんだけど。よういスタートって始めれば、もっとみんなとなりの人としゃべったと思うし、いろいろ考える時間もあっただろうと思うし、他のアーティストとの競争っていう意識も働いたと思うんだけど、そうはできなかったんだよね。だから、僕が期待したほどの周囲とのコラボレーションていうのはなかった。でもやっぱばらつきっていうのは見てたらわかるよね。この人は一日で仕上げてる感じやなってのはわかる、わかる。さっき言われたようなことは、なんか、選別するような方法はないのかっていうのは、やろうかやるまいかちょっと悩んでるとこだね。

−選別をしないのがポリシーなのかなとも思ったんですが。

 そう映るやろうな。うん、僕もそう考えてたんだ。だけどいろんな人の話聞いてるとそれも違うような気もしてる。結果を見て、プラスエイチが選んだ壁画十枚みたいのがあってもいいだろうし、今回がんばった人達みたいのがあってもいいんだけど、選考基準ていうのが難しいし、逆にそれはさ、選ばれたらなんかメリットあんのかていうとこの保障ができないとそんなに意味がないから、それこそスポンサーとプラスエイチがどういう関係にあるかっていうとことすごい関わってくると思うんだよね。先のルートまで用意してなら是非やりたいよね。うん。

−じゃあ、今のところは参加する人に対しては、意志があるということで。

 うん、そこね、すごい人数で一つのことをやるっていうことにもやっぱりすごい価値があって、アクションとしてのさ。それが一つの作品じゃない。そういう目的もあるから、逆に、自分の作品が商品にならなくてもね、アクションに参加できればそれでいいわっていう人も多いと思うんだよね。それはいいと思うし、そういう人がたくさんいたおかげでこういう場ができたわけでさ。

−商店街とか、地元の住民の方とはどういう感じでお話をしていったんですか。

 どうやろな。僕がお話してたのは商店会の人達。代表の今井さん、それから和多利さんを通じて。商店会がいくつかあって、それが集まって今回クリーン’99というイベントがあってそこの人達とは何回も話し合いとか、やりました。

−トンネルの方も、そういった方達と?

 うん、トンネルは渋谷区の持ち物やから、プラスエイチが商店街にお願いして、商店街の方から渋谷区、あと建設省にお願いに行ってもらった感じ。だからプラスエイチの力だけであれが、あの場ができたわけじゃないのね。

−じゃあ、そのお話をするときにアーティストのほうの下絵とかを持っていってこういうものを作りますって事でお話をなさったんですか。

 あのね、下書きに関してはね、結構難しいのよ。原宿シャッターアクションの時は全てのアーティストの下書きを集めることが出来たんだけど、今回は数が数だけにできないのね。で、トンネルもああいう状況でいっぱいの人が描くから、細部にわたって企画の説明をすることで、相手のイメージを補う。企画の内容、たくさんの人が描きますと。その内の何人かの絵はこういう感じですっていって出したり。で、全体のイベントのイメージ図って言うのかな、当日こんな感じになるっていうスケッチは僕が描いて、渡して。落書きに対するアンチアクションていう側面があるから納得してもらえる。出来上がった絵の内容に関しては全然オッケーだよっていう人もいれば、へそ曲げる人ももちろんいる。

−でも一度納得していただいたんですよね。

 うん、了承はもらってる。でもそこが難しいとこ。ギャラリーだったらそれでいいんだけど、都市空間でやる場合っていうのは、いくらこっちが事前にインフォメーションを与えて相手が企画にオッケーしても実際それを当日やってみるまで分からない。というのは一軒一軒まわってすべての人にオッケーを取ったわけではなく、代表者の方と話し合って了承を得たということにすぎないので、どこでどういうクレームが来るかはわからない、ほんとに。まあ、実際そういうこともあって、当日の判断でいろいろ変更もありました。

Tシャツ −やりたいって思ってる人はたくさん、本当にたくさんいるんですけど、実行に移す人っていうのはちょっとしかいないじゃないですか。そういうことをなさってて、やってる上での大変なことってたくさんあるじゃないですか。それでもやっぱり続けていこうっていうのは何なんだろうって思うんですよ。

 もうええ、もうええって思ったけどね。シャッターやったときに。もうやらんっておもったけど、なんでやろな。わからへん。そういうのはやっぱり、学生企業的など根性というか、やった人がね、勝ちっていうのはあるからさ。考えただけでやらなかった人には、結局何の利益もメリットもないでしょ。そういう法則ってどの世界にもあるとおもうのね。芸術の世界もそうやし音楽の世界もビジネスの世界にもあるし、恋愛もそうじゃないですか。あたしが一番よってしゃしゃりでたひとが、ね。でしょ?そうなのよ、きっと。

−それはやっぱり、一番最初に考えついたときの、やろうって思った気持ちを今もずっと根底に持ってらっしゃるんですか。

 僕はね、使命感がある。なんか。あ、やんないとって。アーティストに対する使命感もあるし、僕自身のライフプランの中で、今こうやることが絶対にメリットだって思うから、だからやってる。実際、いい経験させてもらってると思う。
 そんなにね、僕がやってること珍しくないと思うよ。東大いたときなんてほんといろんな奴がおったし。すごい人っているじゃない。学生なのにヒマラヤのぼりに行っちゃったりとか、学生企業でさ、まだ大学二年、三年なのに会社の社長で切り盛りしてたりね。すごい人いっぱいいるじゃない。仲間に俺も入りたいなって思うけど、別に自分が特別なことやってるって思わないけどね。僕と同じことやってる人はそんなにはいないかもしれないけど、ジャンルは違えど、学生なのにミュージシャンとして日夜がんばってる人となんら変わらないと思うよ、俺は。

−現時点で、今やってることからのメリットデメリットってあると思うんですけど、メリットのほうが大きいからやってらっしゃるわけですよね。どういったことがあるんでしょう。

 メリットデメリット。デメリットあんのかな。あるやろか。

−例えば、いろんなことをやる際に、たくさんの衝突とか、大変なことがたくさん起きますよね。そういうことはまったくデメリットとしては考えてないんですか。

 ああ、考えてない。まったく考えないね。

−じゃあ、一つのことをやるためにたくさん衝突が起きるのは当たり前のことであって、それが出来たことが最大のメリットって考えるわけですか。

 そうそう、それは成功に至るための過程でしょう。必要なことやからな。必要経費と一緒です、それは。おにぎりつくんのに塩がいるのと一緒。

−味付け。

 そう、それがないとまずいっていう。

−それはわかるような気もします。

 なんか味気ないぞ、おにぎりが。出来たけど、見た目出来たけどってね。
そう、メリットはやっぱ大きいよね。まず次の課題がはっきりしたでしょ。とりあえず、みんなでワイワイ楽しくできたでしょ?メリットだよね。それなりの成果得たし。デメリットは、ない。ないないない。ないよ。あるかなあ。いや、ないよ。迷惑かけてることくらい。個人的にも団体としても。

ペイントをするアーティスト −そうですね。アーティストの側にもデメリットってないですよね。

 ああ、アーティストはね、中にはいると思うよ。考えてたことと、僕らが主体となってやったことと、ちょっと違うんじゃないってのはあるかもしれない。そういう人はいると思う。しょうがないんだけど、しょうがないんならしょうがないなりにもっと事前に言っとくべきだった。街の中でやるイベントがギャラリーの中でやるイベントとどれだけ違うことかっていうことをもっとみんなに認識してもらう必要があるなって事を僕は思ってるんだけど。当日になるまで分かんないとか。もっとみんなに認識させないといけないなっていうのはある。それも課題だよ。課題がはっきりした。

−Office+Hはまだ海のものとも山のものとも分からない若い子達、そういうアーティスト達のために本当だったら個人が背負うべきものを代わりに仲介に入ってくれてるわけじゃないですか。その存在はアーティストにとってはすごくありがたいと思うんですけど、Office+Hにとってはどうなんだろうと疑問に思ったんですよね。

 うん、難しいなあ、それなあ。確かにそうやけど、だけど現実問題としていいわるい別として、そこまで仰々しく考えてないよね。

−逆に自分たちがイメージするものを実現してくれる人達としてのアーティストという面もあるんですか。

 そうね、強いかもしれないね。アーティストがいないとできないもんね。もう、一緒になって一つのもの作るって事なんだよね。僕らは場を提供したりだとかは出来るし、おっきな集団になれば個人では出来なかったようなことが出来る、実際。マスコミも来るし、注目してくれる人もいるし、横尾忠則さん、日比野克彦さんも興味持ってくれるしっていうのはやっぱり、一番、集団でやったからって事だと思うよ。

−横尾さん、日比野さんとのつながりはどうなんですか。

 和多利さん、和多利さんのほうから、ゲストアーティスト入れようかって。「じゃあ日比野さん横尾さんですよー」って言ってたら本当になんかすることになって。じゃあ来週事務所行こうって言うから、付いてったりして。渡さんのお力ですよ。実際、彼等のデザインをもとにしてキャットストリートに壁画は描くんですけど、まだ詳しいことは決まってない。それも課題。

−これからもこういう活動を続けていかれるわけですか。

 やりたいね。1カ月に1回とかは無理だけど、年に1、2回くらいのペースではね。

−それは本業として?

 いや、僕は学生ですから、普段は。建築やってます。

−建築ですか。

 ええ、それと、ランドスケープ。緑を街にっていう。思想は一緒。芸術を街にっていうのと。農学部の時もランドスケープやってたし。

−それから、もう一つだけ聞きたいんですけど、確かに今、芸術を街にっていう運動をやっている人達は多いですが、それが失敗に終わってる例がすごく多いなって思ったんですけど。

 ほんと?心配心配。

−例えば、彫刻通りっていうのが埼玉の奥地にあるんですけど、何もない所なんですよ。そこに彫刻が寒々しく立ってる。変に浮いていて、景観を美化しているとは思えないんですね、私の目から見ると。そういった例ってすごくあると思うんですよ。街並みから突出してしまっている彫刻だとか建築、モニュメント。今回のものからはそういうものは感じられないんですけど、原宿っていう街自体におもちゃ箱みたいな印象があるので、多少のことは受け入れてくれる寛容性があるということでしょうか。歩いていて、割と原宿に来る人ってそういうものを楽しむ余裕があるというか。そういった、他のものとの差異をはかりたいっていう意図は持ってらっしゃるんですか。

 僕はすごい意識してる、それ。例えば駅前にモニュメント置くとかそんな時代も終わってると思うんだよね。まさに、今言ったようなことだと思いますよ。彫刻っていうのは一歩間違えば、っての多いよね。何でかなって思ったら、その彫刻はそこで作られたんじゃなくて、作家のアトリエで作ったんであって、その場所にまったく関係ないものが多いんだよね。だから、感じないんだよな。あれだけの100人なら100人のアーティストがその場で、原宿で作り上げたって意味は大きいと思いますよ。だから街に溶け込むっていうか。シャッターアクションの時は「原宿の竹下通りのシャッターに絵を描くって事をすごく意識して」ってアーチストに呼びかけましたし。それが原宿であったっていうのも大きい。偶然、僕が原宿商店会の方を知ってて、話が出て、ってほんと偶然ではあるんだけど。原宿っていろんな情報を発信したり、常に動いている、ギャラリーも多い、いろんな人が来るし、そんな街でしょ。そこでこういう活動をやれたっていう意味は大きいと思います。


 インタビュー中の泥谷さんの印象は、肩の力の抜けた人だなあ、ということ。真剣な目にくだけた笑顔でお話してくださった。スタッフにも泥谷くんと呼ばれ、お話を伺った事務所は忙しいながらも和気あいあいとした雰囲気。お忙しいところありがとうございます、と言うと、いや、忙しくないですよ。忙しいって言うたらあかんしね、とにやり。500人もの人数を動かし街に創造的に介入する。夢のような話を現実化する力は、この笑顔を浮かべる余裕、なのかもしれない。(岩井)


泥谷英明氏 ●泥谷(ひぢや)英明プロフィール
22歳。東京大学農学部卒業後、早稲田大学理工学部3年に編入、現在在学中。
友人とともに企画会社「presents」をたちあげ、現在取締役。
99年に新たに「Office +H」を主宰。
『Harajuku ShutterAction '98』『ArtscapeAction'99』発起人

● Office +Hの活動内容

1998年11月『Harajuku ShutterAction '98』
原宿竹下通りの店のシャッターに、一週間かけて夜中に絵を描いた。現在ももちろん残っており、早朝や夜、店が閉まった後の竹下通りは路上ギャラリーとしての一面も持っている

1999年5月3日〜5日『ArtscapeAction'99』
・Tシャツな風景−表参道の街路灯に若手アーティストのオリジナルTシャツ約300枚を展示。 ワタリウム美術館に約1カ月間のTシャツ展示・一般投票の結果、優れた作品は商品化される予定。
・ライブペインティング−アーティスト約100名がゴールデンウィーク5日間をかけて、原宿・お化けトンネルに絵を描く。

●今後の活動予定

日比野克彦氏、横尾忠則氏のデザイン、下絵を元に原宿・キャットストリートの壁に絵を描く。

フォトギャラリー オン ザ ロード(日程他未定)。写真を道路に貼り、道路をギャラリーとして捉える。

●Office +Hの存在理念

街の中に芸術的、創造的に介入する。景観の美化、地域への美的貢献(落書き防止も含む)若手アーティストに表現の場を提供する。
アーティスト集団として、個人では出来ないことを実行する。又、アクション自体(大人数で一つのことを作り上げる事自体)も一つの芸術としてとらえている。

●詳しい活動内容、Office +Hが行う今後のイベントについてはホームページをご覧ください。
Office +Hホームページアドレスhttp://www.jingumae.org/puls−h/