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コトノハPersonalログ2001年4月

2001年4月5日 日本の黒い夏[冤罪]
2001年4月21日 小説家を見つけたら

2001年4月5日 日本の黒い夏[冤罪]

 昨日、仕事に空き時間が出来たので、ちょいと銀座で途中下車して熊井啓監督の映画「日本の黒い夏[冤罪]」を見てきた。てのも、見たい作品の中で、これから始まってちょうど空き時間内に見終えることが出来る作品がそれしかなかったから(笑)。だって、「102」見てもねぇ。。。オッドちゃん言われてもねぇ。。。(笑)

 ちょうど昨日は第一水曜、映画サービスデーで1,000円だったんだけど、とはいえ平日昼間から映画館はナカナカの大入り。しかも、サラリーマンや社会人風の一人もんが多かったのが笑えた。まさに皆様も「仕事の合間に」だったんでしょう(笑)。

 余談はそれくらいにして・・・・・・

興奮!巨匠・熊井啓監督が渾身の力を込めて贈る感動のエンターテイメント大作!
『日本の黒い夏−冤罪−』は日本映画界を代表する巨匠・熊井啓監督が渾身の力を込めて贈る最新作である。常に社会の矛盾と真実を問うてきた熊井監督の眼は、誤報を報道したマスコミにアプローチし、なぜそうなったのかという経緯を明らかにしようと調査を始める高校生たちの眼を通して、マスコミ報道と警察権力によって一人の無辜の人間が窮地に追い詰められていく様、心ない誹謗中傷が浴びせられるなか、父の無実を信じ一つに結束していく家族の絆、そしてやがて明らかになっていく真実を丹念に浮き彫りにしていく。

 というのがオフィシャルサイトの紹介文からの抜粋。内容について触れられていないけど(笑)。
 この映画のモティーフは「松本サリン事件」。マスコミによって犯人であるかのように仕立て上げられた河野義行さんを巡る、警察とマスコミの犯した「過ち」を、高校生の放送部の二人が取材形式で追っていく、という内容だ。

 で、ワシの感想

 映画としては物足りなかった。無駄なシーンやカットが多かったように思う。いい場面もあるのだが、最近邦画で良質な作品を見ていたので(「天国までの100マイル」「洗濯機は俺に任せろ」など)物足りない。ていうか、途中ほんのわずかながら間延びしてしまった。一つのシーンの描写に無駄なカットや必要以上のカットを入れすぎているゆえだろう。
 取材形式、ってのも中途半端。いっそのこと、登場人物も実名にして、完全なドキュメンタリー映画にしてしまったほうが良かったのではないかな?
 あと、TV局の現場にリアリティが無い。劇中、報道番組とは思えないのんびりペースでニュースを読むキャスターやら、あまりにも格好良く描かれているデスク(中井貴一)やら。なんか、付けて焼いたのがよく分かるシーンだった。

 ただし、テーマとしては良くやってくれた!と思う。特に取材する高校生エミの台詞、「(マスコミには)幻滅しました」この一言。今のマスコミの抱える問題、「マスゴミは真実であると国民が思い込んでいる」問題を、非常に的確な一言で表現していた。
 この映画、取り上げているテーマは「警察の捜査&警察発表のいい加減さ」「マスコミ報道のいい加減さ」「オウム真理教への脅威と怒り」だと思うんだけど、その三つはうまいこと表現できている。ただし、見終わったあとに残る最大のものが「オウム」への憤りだった。それもテーマの一つではあるんだろうけど、最たるでは無いはず。その意味で、映画の中心がぼかされた気がした。

 さて、この映画については松本サリン事件と絡めて、コトノハPublicに書いてもいいくらいなんだけど、今日はあえて本道からずれた、ワシの好きな陰謀論を書きたかったので、Personalに掲載しまっすわ。

 この時期、オウムを題材にした映画が公開されていることに、ワシはなんらかの意図を感じる。折りしも、マスゴミに「オウム」あるいは「アレフ」の文字が踊る報道が増えてきたなぁ、と思っていた矢先なものでそう思うのかもしれないけど。おそらくマスゴミでは、地下鉄サリン事件以降第三次の「オウム(アレフ)包囲網」は敷かれているのではないかな、という穿った見方をしている。ちなみに第一次は地下鉄サリン事件直後(95年)、第二次は破壊活動防止法論議のころ(96年〜97年:これにより、オウムはアレフに改称)、というのが私見。
 遅々として進まぬ麻原裁判、あちこちで起こるアレフの転入問題、麻原の子供たちの犯罪(万引)や進学問題。似非オウムウォッチャーとしては、今年に入ってからオウム&アレフの報道が、増えてきているように見えるんだよね〜。そんなところにオウムの出てくる映画。ぁゃtぃ。
 ワシは、オウムという団体も、彼らが犯した罪も許すことは出来ないけど、もしマスゴミがまた自分たちの権力を乱用してなんらかの真実を作り上げようとしているのなら、ワシはそれに対して警鐘を鳴らし、監視して行きたいと思うね。

 あとは余談。劇中で「冤罪」をかけられた人は役名で「神部俊夫」なんだけど、劇中に出てくる新聞の記事では「河野義行」だった(笑)。んな細かいトコまでみんなよオレ(笑)。

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2001年4月21日 小説家を見つけたら 少しだけネタバレ(?)あり注意

 もともと見ようとは思っていた映画だったんだけど、ちょうど友人に誘われたこともあって行ってきた。待ち合わせた場所で友人が「どうせなら安く見よう!」ということで、チケットショップへ行って前売件を所望。1580円なり。おぉ、220円安い!。ところがどっこい。映画館に行ったらちょうどこの日は水曜日でレディースデイ。女性のお客様1000円。ワシはともかく、友人凹んでました。素で。

 そんな余談もありつつ・・・・・・

 小説家を見つけたら。監督ガス・ヴァン・サント(グッド・ウィル・ハンティング他)、主演ショーン・コネリー(アンタッチャブル、ザ・ロック他)、そして少年役にロブ・ブラウン(新人)。
 シナリオ:バスケットボールと文筆の好きな少年ジャマール(ロブ・ブラウン)、40年以上前たった一つの傑作を世に送り出して筆を置き隠遁生活を送るフォレスター(ショーン・コネリー)。怪しい老人として近所で話題の老人の家に、度胸試しと友達に嗾けられ忍び込むジャマール。ところが老人に脅かされ慌てて飛び出したジャマールは、誰にも見せたことの無い自分の文章を書いたメモ帳の入ったバックパックを老人の家に落としてしまう。翌日、バックパックは投げ返されるが、メモ帳には老人からの的確な推敲と指摘があった。そして、二人のふれあいが始まる・・・・・・。

 暖かい話しだ。ヴァン・サント監督は、グッドウィルハンティングでもその暖かみのある映画を披露したが、今回のもその系統に当たると思って良いだろう。正直なところ、全体の構成としては何一つ目新しいところは無い。優秀な少年と、彼を見守り育てる実は社会的にすごい権威を持っているのだがそれを隠している大人、そして、少年をいじめる敵役。敵役によって少年がコテンパンにやられそうになる直前、権威ある大人が出てきてことを平和に収める。ワシはこれを「水戸黄門演出法」と呼んでいるが、まぁ、これに沿った順当な展開。じゃあ何がいいかというと、隠遁する小説家&文壇という素材を使った目新しさと、作品の随所随所に喋る名言だろう。実際、特にフォレスターの一言一言は胸に突き刺さる。文筆を目指すものなら尚更だ。賛否はあろうが、文章を書くものが考えなければいけない問題を、映画の随所で提起してくれる。

 そしてラスト、スタッフロールへ行く直前のワンカットに記された文字。これは感激した。このワンカットが余りにも嬉しくて、映画中盤までの「パルプフィクション」を思わせる暗く単調な映像も、水戸黄門演出法も、許せる気がした。冷静に考えればさほど意外性のあるラストではないが、映画を見ている間のワシは、こう来るとは思っていなかった。調子に乗ってここに記したいくらいだけど、映画見なきゃワケわからない上、ただのネタバレなのでやめておきます。でも一つだけ言いたい。「こうして想いは世代を超えて受け継がれて行くんだなぁ・・・・・・

 あと、音楽が良かったね。ニューヨークのスラムを舞台にしていることもあってか、ブラック系のヒップホップやジャズ、60〜70年代の音楽がフィーチャリングされていて、耳に心地よかった。特に良かったのが、全編のテーマとも言えるマイルス・デイビスと、Over The Rainbow(Sound of Music)とWhat's A Wonderful World(Luis Armstrong)のMixingされた曲が良い!思わず劇場出てすぐにサントラ買ってしまったよ。

 ショーン・コネリー、というと、「ロック」や「レッドオクトーバーを追え」、オスカーを取った「アンタッチャブル」などの、強持て役者としての印象が強いが、この映画でのコネリーは、とても傷つき易く優しい。そうでありながら、厳しいところも併せ持つという役柄だ。そして、コネリーはさすがというべきだろう、この映画を見終えたら、彼以外にこの役はありえないんじゃないかと思わせられるような好演だ。役作りなのかもしれないけど、少し痩せて、従来の役に見える精悍さが無くなっていたが、その分、優しくも厳しい、厭世的な老人を演じきっていた。彼の演技の幅には驚かされる。

 そして、今回が映画初出演、ていうかオーディションで選ばれた相手役の黒人少年、ロブ・ブラウン。この映画のサイトを見てもらえれば書いてあるが、ショーン・コネリーが諸手を上げて誉めたという彼は、確かに映画初出演とは想えない好演だった。表情の幅があるのだ。顔で感情を表現することに長けている。始めてということは、それも優秀な演出家あっての結果なんだろうが、その素質が彼にあったことは確かで、まさに今後に期待の新人といえる。

 総評としては、暖かい映画が好きな人にはいいのではないかと。万人受けはしないだろうけど、ハートウォーミングな話しが好きなら、あと、文章書きを目指しているなら、見て損は無いと思います。オススメ度は、100点満点で80点。

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