インデックスホームコトノハAnything>2001年 W-CDMAによる情報革命

▲BACK

2001年 W-CDMAによる情報革命
〜NTTドコモのモバイルマルチメディア〜


 NTTドコモとは、いまさら改めて紹介するのも妙だが、日本最大の通信事業者であるNTTから分社した、携帯電話、PHSなどの移動体通信電話を取り扱う企業である。

 今や移動体電話は、実に加入者数5000万人を超え、単純計算で国民の2.5人に一人が所持する最大の国内通信メディアである。その普及数の伸びは、毎年1000万を越え、多少成熟期に入ったせいか伸び率は鈍化しているものの、あいも変わらず市場の拡大を続けている。と同時に、この業界はドコモの一人勝ちの世界である。他の新規通信事業者が軒並み低成長率、どころか赤字経営を続けているのに対し、ドコモはその経常利益を年々着実に伸ばしている。(表1参照)

表1 NTTドコモの経常利益
会計年度19941995199619971998
経常利益344億円738億円1300億円1531億円1713億円

 さて、そのドコモは、来るべき21世紀に向けてどのようなサービスを、我々消費者に提供しようと考えているのか。このレポートでは、新しい通信方式であるW-CDMA(ワイドバンドシーディーエムエー)に焦点を絞って展開する。

 W-CDMAとは、「広帯域符号分割多元接続」という技術で、NTTドコモとスウェーデンに本社を持つエリクソン社が開発した、次世代移動通信システムだ。今年、1999年3月21日、国際電気通信連合(ITU)が中心となって決定された次世代携帯電話の世界標準モード(IMT−2000)の一つである。このとき他に採択されたのは、米国クアルコム主導のcdma2000、新規格のTDDであった。

 そもそも、日本の移動通信システムはPDCと呼ばれるもので、日本だけでしか使えない日本標準だった。これは、米国で使用されていたTDMAと基本的には変わらなかったが、世界的には欧州で生まれたGSMという方式がデファクトスタンダードになっていった。日本の携帯電話は日本でしか使えないが、GSM方式の携帯電話なら世界120カ国で使えるのだ。そこで焦りを感じたドコモが「これからはモバイルマルチメディアの時代」と、新機軸を作るべく90年代半ばから東奔西走を始めた。そうして行きついた先が、W-CDMAだったのである。

 細かな技術的なことは割愛するが、W-CDMAには次のような利点があるという。

・ 異なる拡散符号を用いて多元接続が可能
・ 周波数利用効率が高く、広域に電波を送信できる
・ 混信,妨害などの干渉に対して強い
・ 他のシステムへの影響が少ない
・ 機密性に優れている
・ データ通信へ柔軟な対応が出来る
・ 高品質、高速、大容量のデータサービスが提供できる

 さて、このW-CDMAを使って、はたしてドコモは何を展開しようとしているのか。

 一言でいってしまえば、その通信速度の速さを利用した、大容量で高速の情報伝達サービスである。現在の携帯電話の伝送速度は9600bps、PHSでも64Kbpsだが、W-CDMAは最低でも384Kbps、最大で2Mbpsの伝送速度を持つ。この高速が実現できるものは、リアルで鮮明な画像や動画である。また、W-CDMAは多元接続なので、例えば映像と音声を組み合わせて送ることなどが出来る。

「テレビ会議で厭な人がいたら顔を変えてしまうことも出来る。受け取った声を上司の声ではなく、自分の好きな人の声にしたりすることも出来るんです」「映像とステレオハイファイ音を同時に送るカラオケも、次世代携帯ではいとも簡単に出来ます」(三木俊夫氏:NTTドコモ・マルチメディア研究室・マルチメディア信号処理研究室長)

 そのほかにも、ドコモのホームページには以下のような利用イメージが描かれている。

――引用ここから 一部要約・割愛――
・豊かなイメージを伝える映像コミュニケーション
海外の旅行先の風景を日本の友人に映像で「生中継」で送ったり、オフィスと現場を結んだり。動画像もリアルタイムに一台の端末で利用可能。
・モバイルシーンをエンターテイメント空間に
お気に入りのアーティストのビデオクリップを、アウトドアで一括してダウンロード。携帯端末や再生装置で楽しむことが出来ます。
――引用ここまで( http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/w-cdma/home.html )――

 まさに、現在のパソコン機能、さらにそれを進化させた形を、携帯電話でやってしまおうというのである。そして、その実現はそう遠くない未来のことのようだ。

「2001年3月に384Kbps対応の携帯端末をお持ちで、そこにパソコンくらいのディスプレーがあり、ステレオのスピーカーがあればハイファイのステレオサウンドとテレビ品質くらいの映像が楽しめます」(三木氏)

 2001年3月、ドコモは世界に先駆けてW-CDMAを使った移動体通信システムの利用を始める。これが、情報革命の第一歩である。

 さて、技術はいいとして、それを実際に活かす商用ハードウェアとサービスのソフトウェアはどうなのか、という点だ。

 まずハードウェアだが、日本国内のみならず欧米も含めた各携帯電話端末製造メーカーは、今懸命にW-CDMA対応の端末を開発,製造している。多少、W-CDMAという技術が一人歩きをしてしまっている感は否めないが、例えばヨーロッパのメーカーであるノキアは、今年二月公衆交換電話網を通じたW-CDMA方式の接続に成功した。「ノキアはW-CDMAに全力を注いでおり、ノキアのワイヤレス技術において証明済みの豊かな経験をもとに、2001年には日本及び欧州において、商業用W-CDMAのインフラと端末を供給する最初のメーカーの一社となることを目標にしている」(ノキアホームページ: http://www.nokia.co.jp/company/release_990209.html )

 このように、各社はW-CDMA端末の開発を着実に進めており、また、情報革命に乗り遅れまいと必死の模様だ。

 ソフトウェアは、実はW-CDMAのプロトタイプといってもいいサービスが始まっている。ドコモの「iMode(アイモード)」である。すでにiModeでは、情報サービスのほかに、ゲーム、音楽のサービスが始まっている。パケット通信と呼ばれる、通話時間ではなく伝送される情報量によって課金される仕組みのiModeでは、まずはダウンロードして、ゆっくり内容を吟味する、という事が可能になっている。

 ただ、このパケットサービスの伝送速度が384Kbpsという現在に比べたら超高速といっていいものになったとき、はたしてどのようなサービスやコンテンツが有効に使えるのか、という点に関しては、いまだに試行錯誤が続いている段階だという。

 私事ながら、私もiModeを利用しているが、現状のサービスの利便性を活かし、不便なところを改めた上、ではW-CDMAになったときこれにどのような付加が出てくるのか楽しみである。

 ニューヨークタイムズは、日本では携帯がパソコンに取って代わるのではないかという予測を、今年7月27日付記事で掲載している。そして、決してそれは夢物語ではないようだ。

 日本での携帯電話の需要は、若年層に高い。特に日本の携帯は、「連絡」「遊び」「生活」のうち「遊び」がメインの使い方になると、松下通信工業の飯塚氏は推察する。「グループウェアです。仲良し同士がグループを作り、仲間同士の会話を携帯で聞くのを許すという仲間意識です。これからは、このような仲良しグループ的携帯の使い方が増えてくると思う」(飯塚氏)

 W-CDMAの利点は、まさにこのような「遊び」の使い方にマッチしてくる。「遊び心」と言ってもいい。カラー,大容量、高速、機密性も高く広域に通信可能。W-CDMAは、次世代携帯の要である。W-CDMAを利用した携帯端末は、個人主義社会の日本において、パソコンよりも安価で軽量の情報ツールとして、いずれは広く認知されていくのではないだろうか。

<参考資料>
★ 文献冊子
・SAPIO(小学館)1999年7月28日号/8月11日号/9月8日号/9月22日号
★ ホームページ
・NTTドコモ< http://www.nttdocomo.co.jp/ >
・ノキア< http://www.nokia.co.jp/ >
・会社四季報< http://shikiho.qqq.or.jp/ >
・シャープ< http://www.sharp.co.jp/ >
・インタップ< http://www.intap.or.jp/ >


 ワシは、この年の夏にPHSをケータイに買い換えたんだけど、この辺の通信事情を知っていたから、DOCOMO以外は眼中に無かった

 この、自分の身近にある技術の情報、ってのは、常にアンテナを良く伸ばしておいたほうが良い

 例えばISDN。ISDNが早い時期に頭打ちになる技術だってのは、登場したときから分かっていた。ADSLの登場&普及は予想外だったけど、そのADSLの出現、つまり、東京めたりっくの出現によってその時期はさらに早まった。NTTの悪辣なところは、そうと分かっていながらISDNを宣伝し、加入者を増やして利益をあげ、それと同時進行で、潤沢な資金をバックボーンにして、東京めたりっくの技術を剽窃していることだ。

 まぁ、NTTだけを責める気は無いけどさ。

 だが、マイラインの時にも味わったように、ワシらパンピーは身近なことについての技術を知ることに怠慢だ。つぅか、日本人の気質として、自らが選択することに怠慢だ。マイラインしかり、確定拠出年金制度しかり。

 得をするのも損をするのも当人次第。時代は既にそうなっている。得をすることだけを勧める気はサラサラ無いけど(損をしてでも楽しいことはある)、悔しい思いをしないための自己防衛はしておいても良いんじゃないかな。

<2001年10月2日 ともさく>

▲BACK

2001 Tomosaku All Rights Reserved
Mail to tomosaku@yscompany.com